公立高校の推薦を受けるメリットとデメリット
公立高校の入学試験には、「一般入試」と「推薦入試」があります。
「推薦入試」を受けたいと考える中学生は、毎年多くいます。
理由は2つあり、一般入試よりも合格率が高いことと、仮に不合格でも再度公立高校を受験するできるからです。
半面デメリットもあるので、お子さんの性格も考慮する必要があります。
目次
1.推薦入学試験とは何か?
2.推薦入学のスケジュール
3.出願資格と推薦を受ける基準
4.推薦を受ける方法
5.推薦を受けるメリットとデメリット
6.不合格だった時に大切なこと
7.合格した後に気をつけること
1.推薦入学試験とは何か?
推薦入学試験は、略して「推薦」「推薦入試」と呼ばれます。
公立高校の入試には「一般入試」と「推薦入試」の2種類があり、推薦入試を行わない学校もあります。
*推薦入試があるかどうかは、各高校の紹介ページでご確認ください。
「推薦入試」とは、出願基準を満たし、在籍する中学校の校長先生の推薦を受けた生徒が出願することができる試験です。
推薦は1校しか受けることができず、合格した場合は必ず入学することが前提となっています。
公立高校の推薦入学の枠(人数)は、科のよって異なります。
普通科では募集人数に対して20%程度なので、定員320人の高校では約64名です。ただし、募集人数が120名以下の場合は30%程度。
農業や水産に関する学科では制限がなく、その他の学科では50%程度になります。
推薦入試の試験は「面接のみ」という学校が多いですが、英語の聞き取りテストや英語での問答、実技、作文を試験として行ったり、自己アピール文の提出を求める高校もあります。
*詳しくは各高校の紹介ページでご確認ください。
2.推薦入試のスケジュール 2022年度
推薦入試のスケジュール
日程 | 内容 |
11月〜12月 | 中学校で推薦会議が行われます。 |
【願書提出】 |
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【推薦入試日】 | |
【推薦入試の内定通知】 ・合格の場合は「合格内定通知書」を受け取り、「入学確約書」を高校に提出する。 ・不合格の場合は、一般試験の「再出願」手続き(※1) |
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【一般入学試験日】 | |
【合格発表】 |
※1「再出願」について
公立高校の推薦受験で合格内定が得られなかった場合、推薦受験した高校と全く関係なく、どの高校、どの課程・学科にでも出願し直すことができます。
ただし、推薦受験の際の面接を欠席した場合や、合格内定後に「入学確約書」を提出しなかった場合は、「再出願」することはできません。また、2次募集の出願もできません。
気を付けましょう!
例)
市立旭丘高校の普通科を推薦受験したが、不合格
→もう一度旭丘高校の普通科を受験 OK!
→札幌月寒高校の普通科に「再出願」 OK!
再出願が受けられる日程は、合格発表後1週間弱です。
この期間中に、保護者が中学校と出願していた高校と再出願する高校間
を行き来し、手続きします。
手順など、分からないことがあったら遠慮なく中学校に聞きましょう!
3.出願資格と推薦を受ける基準
「推薦入試」には、3つの出願資格を満たすことと、在籍する中学の校長先生の推薦を受けることが必要です。
出願資格
(1)令和5年3月末日までに道内の中学校、又は義務教育学校を卒業する見込みの者
(2)動機及び理由が明確である者
(3)その学科に対する適正、興味・関心及び学習意欲を有する者
中学校長の推薦を受ける基準
中学校では、出願資格の(2)(3)について判断します。
基準は公表されていませんが、成績や生活・学習態度、生徒会や部活の活動などから総合的に判断されます。
基本的に石狩学区の中学校では一般入試を受験するように指導します。推薦を受けれる生徒の数は少なく、多くは1つの高校に対して約0〜2名程です。
主に一般入試による受験でも十分合格できるレベルの生徒が選ばれます。
そもそも中学校にとって「推薦入試」とは、
その生徒を「成績優秀かつ品行方正であり、中学校の代表の生徒としてふさわしい」と認めて高校に推薦する制度です。
*品行方正とは、心や行動が正しく立派なさまのこと。(三省堂 国語辞典より)
時々、推薦を希望する生徒や保護者の中には、「成績優秀」であれば対象になると単純に思っている方がいますが、それだけでは足りません。
レベルの差はあっても、中学校の代表になるような模範的な生徒である必要があり、最終的に推薦会議で決定されます。
中学校の基準の詳細は公表されていないので、推薦を真剣に考えている場合は、担任の先生に伝え、自分が対象になるかも含めてまず相談することが大切です。
4.推薦を受ける方法
推薦を受ける方法の前に、まずは推薦を受けることができない例を挙げます。
1.基準の成績を満たしていない
2.志望する高校について良く知らない
3.志望動機がはっきりしない
4.高校で何をしたいか考えていない
5.受験を早く終わらせることを考えている
6.真面目な高校生活を送れるか心配である
7.中学校の代表の生徒とは言いにくい
8.合格後、受験勉強を続けているクラスの雰囲気を壊すかもしれない
推薦を受けるためには、上の例と反対の行動をすることになります。
まとめますと、
基準を満たしたうえで、その高校で何を具体的に頑張り
合格後も高校入学後に備えて、このような勉強を継続していくという意思表示と、その意思表示の根拠になる「今までの取り組み」が大事だということです。
推薦を受けたいと申し出る前に、自分の考えを伝える準備をしておきましょう。
5.推薦を受けるメリットとデメリット
推薦を受けることにも、メリットとデメリットがあります。
デメリットについては、保護者の方がお子さんの気質や性格を考えてアドバイスする
必要があると思います。
・一般入試よりも合格率が高い。
・面接試験が中心なので、受験勉強の負担が少ない。
・早い時期に受験勉強から解放される。
・一般受験でも受かる学力の生徒が推薦される。
・高校によっては、推薦を受けても合格するとは限らない。
・不合格だった場合に備え、一般入試の準備も並行する必要がある。
・不合格だった場合、5日程度の短い期間で一般入試の出願手続きをする。
・不合格だった場合、多かれ少なかれ動揺する。
・合格後、受験に向けて頑張っているクラスの中で浮いてしまうことがある。
・高校では「推薦」を受けた生徒として、ふさわしい行動をする責任がある。
推薦入試に向いているのは、
普段真面目に勉強して内申点も良いのに、本番の試験にとても弱いタイプの生徒
だと思います。
「頑張ればできる」ということも本当ですが、本番に極端に弱く体調を崩すタイプがいるということも本当です。
*気質とは、小さい頃から変わらない性質のこと。
「人の性格の基礎をなす感情的反応の特徴。遺伝的・生理的規定が強いとされる」参考:三省堂大辞林
6.不合格だった時に大切なこと
推薦入試の合格率は高いですが、必ず合格するとは限りません。
受験者が募集人数より少ない場合でも、不合格になる場合があります。
また中学校から2人受験して、1人だけ合格するということも起こります。
不合格をもらえば大人でも動揺しますが、「恰好悪い」「ダメかも」などと考えてはいけません。推薦されたということは「成績優秀かつ品行方正であり、中学校の代表の生徒としてふさわしい」と認められて、受験のチャンスを人より1回多くもらったのだととらえてください。
不合格だった時に大切なのは、気持ちを切り替えて落ち着くことと、3月の一般入試にむけて再出願の手続きを速やかに終わらせることです。
出願期間は短く5日程度、注意が必要です。
推薦入試の時と同じ高校に出願することも、別の高校に出願することもできます。
合否発表の後は、約2週間で一般入試です。
残りの時間を大切にして落ち着きましょう!
7.合格した後に気をつけること
合格した後に気をつけるのは、
「今、受験で頑張っている」友達の邪魔にならないように気を配ることだけです。
受験では、どんな人でも神経質になるので、
一足早く合格をもらったあなたを見て「ラクしている」と思う人も出てきます。
「ラクもしていないし、浮かれてもいない」と思っても、今頑張っている友達を尊重して、受験が終わるまで目立たないように気を配りましょう。
本当の友達だったら、あなたの気配りにきっと気がつきます。